製薬企業所属の医師だからこそできる患者さんへの貢献のありかた―製薬企業の社員(non-MD)からの視点①-7

その七:いかに企業内医師(MD)を最大限活用するか

こうした私の経験をお伝えすることで申し上げたかったのは、社内医師という仕事は病院のお仕事とはずいぶん異なるものではあるが、逆に「企業における医師として」でしかできない楽しみや活躍の場というものもあるのでは、ということなのです。チームで一体となって苦楽を共にし、より多くの患者さんを救うというゴールを達成する喜びがあり、活き活きとご活躍されている医師が既に多くおられます。今後もっと多くの医師の方々が社内医師としてご活躍されるようになるためには、企業側としてはどういう環境整備を行えばよいのでしょうか。私なりに考えてみました。 まず、社内医師がより効果的に活躍できるようにするために、医師ではない社員のマインドセットを改革し、健全なチームワークを醸成することがあると思います。社内医師だけにがむしゃらにがんばらせるのではなく、チームメンバーが医師の価値、意義を自ずと引き出してくれるような環境づくりとも言えます。施策の一つとしては、医学・科学以外の観点を切り盛りできる医師以外の担当者(例えばプロマネ!)を育成、整備すること、つまり、社内医師の右腕を用意すること、が有効だと思います。結果として社内医師の過剰な負担を回避し、社内医師の職務のサステイナビリティにもつながると思います。今や医薬品開発は日本国内よりも全世界を舞台とする時代です。また、医薬品開発の在り方も早いスピードで変化、進化しており、その中心を担っているのはやはり医師です。欧米諸国では医薬品開発に社内医師が直接関与するのはもはや当たり前のこととなっています。日本でも時代の流れに乗り遅れない国際的医薬品開発を推進するには、欧米と同レベル以上の社内医師活用を推進し、中心的役割を担っていただくことが必要条件だと思います。