あいさつ

医薬品開発とそれに関わる医師の重要性

~医薬品開発能力促進機構
(The Institute of Drug Development Career Promotion: DDCP)設立にあたって~

医薬品が人類の発展に不可欠なものである事はいうまでもありません。100年前に不治の病といわれ死因のトップであった感染症から多くの人々の命を救ったのはペニシリンに代表される抗生物質でした。 日本の現在の死因のトップはがんですが、次々に新しいメカニズムを有する抗がん剤が開発され、患者さんの生存期間は大幅に改善され、今やがんは不治の病ではありません。そのほか多くの医薬品が研究開発され人類に貢献しています。その研究開発の発端となるシーズは、医薬品企業は勿論の事、アカデミアやベンチャーからも生み出されますが、そのシーズを薬にするために必要な開発のほとんどは医薬品企業が行います。それは候補物質を治療に使えるような医薬品にするためのプロセスやノウハウ、スキルが極めて高度であり独特であるからです。

医薬品は患者さんのために真に有効で安全で有用でなければなりません。医薬品の開発には10年以上という長い年月と2千億円以上のコストがかかります。一方、その成功確率が極めて低いことも特徴です。ある試算によれば、スクリーニングされた700万のシーズの中から種々の非臨床試験により10~20の候補物質が絞り込まれ、ヒトにおけるPhase I, II, IIIというプロセスを踏んだ厳しい臨床試験を経てやっとひとつの医薬品が生み出されると云われます。この臨床試験を行うためには、異なった役割を持つ医師の存在が欠かせないのです。ひとつは病院で臨床試験を実施する医師の方々であり、もうひとつは企業の開発部門で臨床試験を企画し、病院の医師に試験を依頼し、行われた試験の結果を医学的、科学的に評価して医薬品を創り上げていくという役割の医師の方々です。

世界の売り上げトップ100にランキングされる医薬品が創出された国を調べたデータによると、約70%が米国発で、2位が日本の5%、3位がEU4%となっています。この米国との大きな違いはどこから来るのでしょうか?経済や科学など多くの分野でトップである米国の底力の強さによる違いであることは云うまでもありませんが、医薬品の研究開発という領域に注目してみてみると、企業で開発の仕事に従事している医師の数に大きな違いがあります。米国のトップ医薬品企業ではひとつの開発部門で100名近い医師たちが活躍していることが稀ではありませんが、日本では多くても数名程度です。医薬品産業は日本では重要な産業のひとつであり、経済のみならず科学の発展にも大きな貢献をしています。患者さんのため、経済、科学発展のために日本の医薬品研究開発能力をもっともっと大きく伸ばしていく必要があります。その為に日本で必要なことは、医学を学び、患者さんを実際に診療した経験のある医師が、医薬品企業に入り、医薬品の開発企画や試験計画を策定し実行し、それらのエビデンスを基に医薬品を作る創薬という側に積極的に参加することではないでしょうか。

私たちは、もっと多くの医師の方々に企業の医薬品開発部門で活躍する意義を考えて頂きたい、そういう方々をいろいろな側面からサポートしたいという思いから、非営利一般社団法人「医薬品開発能力促進機構(DDCP)」を立ち上げました。

ここでは、医師としての将来の選択肢の一つとして企業の開発という重要かつエキサイティングな役割があることを知っていただきたいという思いでこの挨拶をさせていただきました。このホームページから興味のあるトピックを選んで読んでみてください。きっと医薬品開発にもっと興味を持っていただけることでしょう。

DDCP代表理事 島谷克義

PAGE TOP
MENU