医薬品開発に携わるキャリアパスの事例をご紹介します。

アメリカで医薬品の開発者になった先輩リケジョが教える「海外で活躍できる理由」

企業内研究者とそれを目指す理工学系生に捧げる『企業研究者のための人生設計ガイド』が、講談社ブルーバックスより発売開始されました。
この本の第3章「企業研究者インタビュー」は、グローバル企業で世界的な活躍をしている女性研究者の本音をたっぷり聞き出していて、全リケジョ必読の内容。今回は特別に、ノヴァン株式会社(米国ノースカロライナ州)のバイスプレジデントにして、医師の資格を有する中鉢知子さんへのインタビューを全文紹介します!


【海外で働く①】なぜ、私はアメリカにいて、製薬会社で働いているのでしょうか?——中鉢知子さんの場合

子供のころから海外で働いてみたいと思っていました。外交官になりたいとか思ったこともあったように記憶していますが、高校の担任の先生に理系の方が向いているんじゃないと言われて、理系志望となりました。物理がさっぱりできず、生物と化学で受験できる理系を探すと医学部ということになりました。大阪大学医学部の学生の時は基礎医学が好きでした。卒業して皮膚科入局となりましたが、海外で行われる学会に出席するのを楽しみにしていました。


【海外で働く②】なぜ、私はアメリカにいて、製薬会社で働いているのでしょうか?——中鉢知子さんの場合

しかし、いつまでもポスドクをやっているわけにもいきません。何とかまともなポジションをとって生活も安定させなければということで、カナダとアメリカでいろいろなポジションに応募し、いくつかオファーをもらいました。ただ、医師としての資格を持っているのに、Research Assistant Professorというのではかなりお給料も控えめでしたし、アメリカではグリーンカードがないとそれなりのグラントにも応募できないということが分かりました。


【海外で働く③】なぜ、私はアメリカにいて、製薬会社で働いているのでしょうか?——中鉢知子さんの場合

アカデミアでは聞いたこともない180度評価、360度評価。周りの人からの辛口評価に落ち込みました。でも同時に励ましの言葉もあって謙虚に頑張ろうと気持ちを新たにしました。海外からのメールや電話会議が度々あり、エキサイティングでした。北米での生活が5年あったせいか、あるいは私のもともとの性格なのか、グローバルチームとのコミュニケーションをとって交渉していくプロセスがとても刺激的で面白かったです。


【海外で働く④】なぜ、私はアメリカにいて、製薬会社で働いているのでしょうか?——中鉢知子さんの場合

合意に基づいた試験を終わらせ、申請書類を書き、EMAで承認されて、それから会社の薬事、パテントオフィスの人たちがヨーロッパ各国の当局にパテント延長販売などの書類を提出し、パテントが切れる前に審査が終了していなければなりません。逆算すると、とても時間が足りませんでした。