【DDCPインターンシッププログラム】体験者インタビュー①~K先生~

DDCPでは昨年から医師向けの製薬企業のインターンシップを開始いたしました。

製薬企業未経験の医師の方が、将来的なキャリアプランとして製薬企業に入職を視野に入れる際に、

  • 製薬企業で働くとは?
  • 現場の様子とは?
  • どんな雰囲気なのか

そういったことを知っていただくためにも、このDDCPの提供するインターンシップ制度をご活用いただきたいというところで開始しております。

今回お話を伺うK先生は、このDDCPが提供するインターンシップ制度を利用された第1号の先生ということになります。

病院で臨床医師として働きながら、製薬業界に興味を持ち、2週間のインターンシップに参加されたK先生の、貴重な体験と率直な感想をインタビューしました。

どうぞご覧ください。

インタビュアー

まずは、K先生の自己紹介からお願いします。

K先生

DDCPのインターンシップ参加時は、静岡県内の病院で主に脳神経内科医として勤務しておりました。

病院勤務の中で製薬企業で働くということに興味持ちまして、DDCPの会員となり、今回2週間のインターンシップ制度に参加しました。

インタビュアー

地方の医療機関でずっと臨床をやってこられた中で、製薬企業で働くことに興味を持たれたということですね?

K先生

はい、そうです。

インタビュアー

どういった経緯で、製薬会社で医師が働くことができるというのをお知りになったんですか?

K先生

地方病院で勤務している中で、一時的に大学で働かせていただく機会がありました。

そこで、

  • 臨床で使われる薬がどういうふうに出来上がってくるのか
  • 出来上がった後、使っていく上でどういう問題があるのか

そのようなことを、初めて知る機会を得たんです。

臨床のバックで様々な研究を行っていたり、またその研究を支えている存在として、製薬企業が大きなウエイトを占めているということを知りました。

ちょうど医師になって3年目の時ですが、それが製薬医学に興味を持つようになったきっかけになります。

インタビュアー

なるほど。

K先生

その後、学会やセミナーに参加した際にも製薬について話題にされていることが分かるようになってきて、徐々に興味を強くしていきました。

インタビュアー

その当時、ご自身の周りで製薬会社に行かれた方はいらっしゃったんですか?

K先生

私の周りには、いなかったのですが学会でたまたまDDCP会員でもいらっしゃる脳神経内科の先生にお会いする機会があり、私も脳神経内科ですのでお声がけさせていただきました。

その先生から、「脳神経内科の医師として製薬企業で勤めるとしたら、どういうような形になるのか」というのを詳しくお話しいただき、より興味を強くしました。

インタビュアー

その時はすぐに製薬会社に行こうとは、ならなかったのでしょうか。

K先生

そうですね。まだ治験の経験もなかったので、その時製薬企業に行ったとしても役に立てることがない状況でした。

もう少し、臨床をしっかりやり、研究もやり、製薬企業に入ったとしても役に立てるようなバックグラウンドをつけてから目指そうと思いました。

インタビュアー

その先生のお話からDDCPのことをお知りになったということでしょうか。

K先生

はい。DDCPにはすでに製薬企業で働いている先生だけでなく、製薬企業に入ることを目指している医師の方も会員として登録しているとお聞きしたので、DDCPに会員登録させていただき、MDカフェのオンライン講演などに参加していました。

インタビュアー

DDCPの会員の皆さんのお話や講演を聴いてみて、いかがでしたか?

K先生

なかなかハイレベルなお話だったので、最初はあまり理解ができなかったんですが。

芹生代表理事の製薬医学の本(『製薬医学入門―くすりの価値最大化をめざして―』)も読ませていただいたり、過去のオンライン講演のアーカイブ動画を視聴したり、自分なりに理解を深めていきました。

外からだと、なかなか、製薬企業で働く医師がどのような活動をされていて、どういうことに問題意識をもっているのかが分からないのですが、その辺りを詳しく話してくださっているので、より実態が分かり面白かったですね。

インタビュアー

ありがとうございます。そう言っていただけると、MDカフェを長く続けてきて、よかったと感じました。
また、『製薬医学入門』の輪読会にも参加いただいたようですね。

DDCPの活動にご参加いただいて得た情報や知見が今回のインターンシップ参加に繋がったのかなとお話を伺って感じました。

K先生

はい、そうです。

インタビュアー

では、本題に入ります。インターンシップに応募しようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

K先生

DDCP会員はDDCP理事のメンタリングを受けることができるのですが、その際に中鉢理事から、勧めていただきました。

自分がやってきたことを生かす道が製薬企業であるかどうかなど、今後のキャリアについてご相談させていただく中で、一度製薬企業の中に入ってみると、見えるものも違ってくるのではないかとアドバイスをいただき、ちょうどDDCPでインターンシップ制度が始まるということだったので、機会があるならぜひやってみたいと思いました。

インタビュアー

中鉢理事からインターンシップ制度の話があった時に、すぐに行こうと思いましたか?それとも少し悩むというか、温めてから決心されたのか、いかがでしたか?

K先生

すぐやってみようとは思いました。ただ一つネックだったのが、インターンシップの2週間という期間、どう休みを確保するかということでした。

当時、病院に勤務しておりましたので。

インタビュアー

なるほど。

勤務先との日程調整の点と、どういうステップを踏んでインターンシップ参加まで進められたかという点を、もう少し詳しくお聞きしてもいいですか?

K先生

はい。

まず、インターンシップは私がやりたいと言えば参加できるわけではなく、受け入れ先の製薬企業様とのマッチングが必要になります。

受け入れ先企業との面談をさせていただいたり、という選考プロセスを経ながら、同時に自分が所属していた病院の上司と、2週間の休暇を取りたいという相談をしていました。

インタビュアー

受け入れ企業とのマッチングはどのくらいの期間に渡って行われたんでしょうか。

K先生

応募してから、全てのプロセス、決定まで2~3か月でした。

  • DDCPからのオリエンテーションを受け、提示された課題を完了
  • DDCP理事と面談
  • 相手企業と面談。インターンシップの意義、なぜ参加したいと思ったか、企業として求めることなど双方の意見交換、一致を得てマッチング
インタビュアー

わかりました。どの部門に配属されるかというのは事前に決まっているのでしょうか?

K先生

部門については私の希望も考慮いただきました。

私の場合は、臨床開発とメディカルアフェアーズです。

特にメディカルアフェアーズ中心で、臨床開発も見てみたいと希望しておりましたので、幅広く、全体を見させていただきながら二つの部門をメインで参加させていただきました。

インタビュアー

実際のインターンシップの初日のことをお聞かせください。

どんな一日目をお過ごしになられましたか?

K先生

まず、病院と全く環境が違うことが印象的でした。

オフィスの環境であったり、様々な職種の人がいて、こう社内でコミュニケーションを取るというような、そういったところから全く病院とは違いました。

初日に会社説明と各部門の説明のオリエンテーションから始めていただきました。

大枠は同じだと思うのですが、企業によって微妙に部門の名称などが違っていたりすることはあると思うので、この企業では、この部門でこういったことを担当しているとクリアに説明していただけたのは非常にありがたかったです。

インタビュアー

オリエンテーションを受けたときに、ビックリしたとか、違和感を感じた部分はありますか?

例えば、製薬会社あるあるだと思いますが略語が多いとか。

K先生

そうですね。事前にはもちろん勉強させていただいてましたが、確かに聞き慣れない言葉などがありまして、そこは都度質問させていただきました。

もし全く何もしないで行くと、初めから話がつかめないと思うので、事前にDDCPでメンタリングや課題動画を視聴する期間を設けていただいたのは、非常に良かったです。

インタビュアー

一日目はオリエンテーションで、その後はどのように2週間のインターンシップを進められましたか。

K先生

まずはメディカルアフェアーズ部門を回らせていただいて、2週目の途中から徐々に臨床開発の方を見させていただくというような流れでした。

1週目は主にメディカルアフェアーズ部門に参加しました。

領域ごとに細分化されていますので、各領域ごとに少しずつ入らせてもらって、会議を含め活動に同席させていただきました。

インタビュアー

会議で発言する機会はありましたか?

K先生

臨床よりの話になった時は意見を求められることもあり、自分の経験ベースではあるんですが、現場ではこうなっています、というお話をさせていただきました。

2週目の臨床開発の方は、私自身が治験をしっかりやった経験がなかったので、積極的に意見するというのは難しかったのですが。

しかし、私自身が大学病院勤務と地方病院勤務の経験がありますので、それぞれの病院で治験の話が企業から来た時に、どう受け止めてきたかというお話をすることができました。

  • 通常の病院の業務の中に治験を組み入れるとしたら、どう対応するか
  • どれくらいの治験業務であれば負荷なく取り組めるか

そういったことを臨床医師の立場でお話しできたので、自分の経験が少しは役に立ったのではないかと思います。

インタビュアー

ありがとうございます。

企業側としても、きっと現場の医師のリアルな意見が聞けたということで、非常に有意義だったのではないかと思います。

2週間のインターンシップ期間の間で、主にメディカルアフェアーズと臨床開発部門に参加されたということですが、別の部署、例えばファーマコビジランスのお話を聴いたりはされましたか?

K先生

そうですね、部門長の方にお話を伺うことができました。

政策とどう折り合いをつけていくか、というガバメントアフェアーズのような部門のお話も聞けました。

インタビュアー

いかがでしたか?聞いてみて役に立つことはありましたか?

K先生

製薬企業は完全に市場で戦っているというイメージを持っていたのですが、実は国の政策の流れや世情とすり合わせているのだな、ということが知れたのは新鮮でした。

  • 大きな流れの中で自社のビジネスをどう位置付けるか
  • この国の向かう方向と合っているか
  • 他の企業とは違う貢献の仕方ができないか

そのようなことを提案していく部門があるというのが分かり、製薬企業に持っていたイメージが少し変わりました。

インタビュアー

では、2週間のインターンシップの中で、楽しかったこと、驚いたことなどあれば教えていただけますか?

K先生
  • まず楽しかったことから。

字面でしか知らないこと、話でしか知らないことが、製薬企業の中に入らせてもらって体験させてもらえるというのは本当に楽しい経験でした。

病院で働いていると見えない部分なんです。

手元にある薬が、どうやってここまで来たのか。

また、自分がその薬を使おうと考えるに至るプロセスというのは、自分の頭で完結しているわけではなく、様々な話を聞いて使おうと判断するに至ると思うんです。

そのプロセスを形作る人たちというのが、どのような思いで働いているのか、実際に動いているのかというのが知れて、本当に楽しかったです。

臨床開発にしても、治験のイメージは持っていましたが、それを実際に動かす苦労や治験が動いていくプロセスを知れたことは大きかったですね。

治験の経験がない故に楽しかったと言えるかも知れません。

  • 驚いたことは、主に二つあります。

製薬会社の中で、臨床開発やメディカルアフェアーズと、部門の名前が違うと、全くやってることが別なのかなと思っていたのですが、結構、部門間で繋がっているのが分かったということ。

二つ目は、病院で仕事している時との時間の流れの違いです。

企業ではタイムラインの作り方がかなりタイトなんですね。

シビアに動いているので、時間感覚の違いや業務に対する課題意識の違いというのを知れたのが驚いたことです。

インタビュアー

なるほど。

K先生

一つ目をもう少し深堀りすると、私は、臨床開発はその承認をゴールにして、そこまでいかに早く到達するかをみんなで頑張るというような部門だと思っていたんです。

承認が終わった後で、メディカルアフェアーズの活動に移って売り出していく、広めていくイメージだったんですが。

そうではなくて、かなり臨床開発の早い段階からメディカルアフェアーズ活動が始まっていたりとか、臨床開発側からもメディカルアフェアーズ部門にアプローチして、こういう動きをしてくれと依頼していたりですね。

部門ごとにそれぞれで活動しているのではなく、全社的に連携しているということが驚きでした。

インタビュアー

ありがとうございます。

K先生のお話を聞いて、本当に素晴らしいなと思うのは2週間の短い間に製薬企業の活動について細かい所まで見られていて、理解をされていることですね。

一方で、ネガティブに感じたところ、違和感という感じでもいいかと思うのですが。

ここはもっと製薬企業の中で改善できるんじゃないか?とかこういう面はちょっとどうだろう?と感じたことがあれば教えてください。

K先生

そうですね。

製薬企業としては、売っていける商品を作らなければいけないという厳しさがあると思うんです。

そのために、プロジェクトが途中でガラッと変わったり、中断したりということが稀ではなく、度々あるというお話を伺いました。

他の企業も同様かは分かりませんが、場合によってはもっとシビアなところもあると聞きました。

臨床医師の仕事ですと、どちらかというと、自分のやってることが少しでも常に役に立つという意識があるのですが。

製薬企業の中で働くとなると、一つの製品に対して、色々と働きかけていることが、上手くいくかは分からない中でもやっていかなくてはいけない。

さらに、それが途中で急に方針転換になったり、急に中止になるというのは、働き方としては結構シビアだなと感じました。

もちろん、だからこそ、より良いものを作ろう世に出そうという強い意識づけになるのでしょうから、もしかしたら良い点でもあるかもしれませんが。

あと、臨床現場での実際の薬の使われ方が企業側からイメージがしにくいため、アプローチがしづらいというお話を聞きました。

臨床医師の立場としては全くそんな意識は持っていなかったので、そこが掴み切れていないのは、なぜだろう?と感じました。

しかし、その点も、自分が臨床経験のある医師として製薬企業に入るならば、お役に立てるところなのかな?とも思います。

インタビュアー

確かに、その橋渡しというのが、臨床現場を経験した医師が製薬企業で果たせる大きな役割の中の一つではないかと思います。

今回2週間のインターンシップに参加されて、どんな医師の方にインターンシップをお勧めしたいと思われますか?

K先生

私としては、今回インターンシップに参加して、非常に得られるものが大きかったので、少しでも製薬企業に興味がある方は、ぜひ参加されるといいと思います。

私の場合、自分の専門のど真ん中の分野だけを扱っている企業というわけではありませんでしたが、それがかえって良かったのかなと感じています。

専門分野だけにフォーカスするのではなく、違う分野の薬剤など、色々な領域を見れましたので、勉強になりました。

特に、治験など、新しい薬が作られて広まっていくというプロセスに何らかの関りを持っている先生で製薬企業に興味がある方はお勧めします。

インタビュアー

今後のキャリア展望についてお聞かせください。

K先生

製薬業界に入りたいという気持ちはずっと持っていましたので、今回インターンシップを経験させてもらい、その思いを強くしました。

その反面、自分自身の能力がどこの分野にどれくらい役立てられるかということは、企業によって求めるところも違うと思いますので。

そこも踏まえて、キャリアプランはしっかり考えていかなくてはいけないと思っています。

インタビュアー

本日は貴重なお話をありがとうございました。K先生の今後のご活躍を期待しております。