製薬企業所属の医師だからこそできる患者さんへの貢献のありかた―製薬企業の社員(non-MD)からの視点②-3

その三:企業内医師(MD)との出会い、その印象

私が2000年に転職した製薬会社には、そのような資質を持った医師の方たちが勤務しておられました。

彼(彼女)らは、チームメンバーとともに、臨床試験のプロトコールについて海外の専門家と議論を進め、Key Opinion Leader(KOL)とも議論しながら、日本の臨床試験の立案をリードしていました。また、当局相談資料や申請資料の作成をチームメンバーと進め、当局からの照会事項への回答作成も海外の開発チームと議論しながら進めていました。

印象的なのは、その理解と判断の早さです。臨床試験は薬効評価を目的としているため、実臨床とは異なることも多々あります。臨床試験の結果を臨床現場にどのように反映できるか、そのGapを埋めるための論理を頭の中で組み立てて、納得のいく理解をしながら進めているように感じました。ロジックが組み立てられているので、その後の判断は迅速です。実臨床とのGapは、それまでのベテランの開発担当者にとってみれば、前例や経験から考えるまでもないことのように思われることだったかもしれません。しかしながら、医学の進歩の中で、常に変化する環境の中で、海外の状況とも擦り合わせて新規医薬品の開発を進めるためには、これからは一つ一つロジックを確認しておくことが重要になるのだと感じました。