製薬企業所属の医師だからこそできる患者さんへの貢献のありかた―製薬企業の社員(non-MD)からの視点②-1

その一:医薬品審査体制の変遷

医薬品開発のゴールは、規制当局の承認を得て、医薬品を患者さんの元に届けることにあります。では、規制当局ではどのように審査が行われるのでしょうか?

1997年に医薬品医療機器審査センター(PMDEC)が設立されるまでは、厚生省が審査を担当していました。まず、薬務局の審査課との間で質疑応答が行われ、それに基づいて書類整備が行われたのち、中央薬事審議会の新薬調査会において審査が行われ、調査報告書が作成されていました。調査会では医師である臨床担当委員が臨床部分の審査を行っていましたが、申請会社との直接の窓口は厚生省の薬系の技官でした。

PMDECが設立されると医系の臨床担当者を含む「審査チーム」によるチーム審査が始まりました。そのためにPMDECも審査業務に専念する医学専門家を採用するようになりました。2004年には審査体制の充実のため、PMDECを母体として独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が設立され、開発に関する相談業務から申請後の審査を一貫して行うようになりました。そして、製薬企業との面談にもPMDAの医学専門家が出席するようになったのです。