製薬企業所属の医師だからこそできる患者さんへの貢献のありかた―製薬企業の社員(non-MD)からの視点②

ベテラン薬事担当者R子さんにお話しを伺いました。
R子さんの略歴はこちらです。

30年以上にわたり、外資系の製薬会社で主に開発薬事の業務に従事。欧州の製薬会社で薬事の担当者としてスタートし、医薬品・医療機器の開発・承認申請・薬価・保険収載等の業務において、薬事戦略の立案及び規制当局との折衝を行う。2000年からは米国に本拠を置く大手製薬企業において、開発薬事部長として循環器・代謝疾患・泌尿器・精神神経系等の新薬の開発に携わる。2014年からは、再度、欧州の製薬企業の薬事部長として開発薬事及び薬事全体を統括。現在は同社薬事アドバイザー。薬剤師。

その一:医薬品審査体制の変遷

医薬品開発のゴールは、規制当局の承認を得て、医薬品を患者さんの元に届けることにあります。では、規制当局ではどのように審査が行われるのでしょうか?


その二:日本における医薬品開発は欧米型へとシフト

一方で日本での医薬品開発の進め方にも変化が見られました。1998年にICH E5ガイドライン(外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因についての指針)が発出されると、日本人のデータと海外のデータを比較し、医薬品の作用に与える民族的要因の影響を科学的に評価するようになりました。


その三:企業内医師(MD)との出会い、その印象

私が2000年に転職した製薬会社には、そのような資質を持った医師の方たちが勤務しておられました。
彼(彼女)らは、チームメンバーとともに、臨床試験のプロトコールについて海外の専門家と議論を進め、Key Opinion Leader(KOL)とも議論しながら、日本の臨床試験の立案をリードしていました。


その四:企業内医師(MD)との協業で得たもの

規制要件と前例に判断根拠を求めることの多い薬事担当者(私)にとっては、チャレンジを受けることも多かったです。海外では認められることがなぜ日本では認められないのか、根本に立ち返って見つめ直すことが求められました。


その五:日本の医薬品開発の発展のために、今後ますます必要となる医師の視点

こうした時代を経て、今では国際共同開発が当たり前になり、日本を含めた開発が海外主導で進むようになりました。しかしながら、これからは海外についていくだけでなく、Unmet Medical Needsを日本からも海外に働きかけ、発信できるようにしていかなければ、日本の開発力は弱くなってしまうのではないでしょうか?そのためには患者の目線、医師の目線でNeedsをとらえていく必要があると思います。