MAの歩き方(その7)
組織における「システム」とは
前回は組織構造(Structure)について解説しましたが、今回はシステム(System)について記載します。
組織におけるシステム(System)は業務プロセスや体制の事で、ビジネスが円滑に回る仕組みです。
会社の業務には膨大なプロセスが埋め込まれており、
果てしない数の標準手順書(SOP)が存在する事は皆さんご存じのとおりです。
SOPに書いてあることから逸脱して行うといわゆる「SOPバイオレーション」で、
社内的に怒られたり、深刻な場合は人事上の処分、
さらには当局に怒られたりすることもあり得ますので、システムは非常に重要です。
時々「SOPに書いていないからその仕事はやりません」という方もいますが、
それを言ってしまうとかなり評判を下げる事になるので要注意です。
そのような状況の場合は、
「確かにその仕事にはValueがありますね。
で、リソースの問題があるのですがそこはどうしましょうか」
あるいは
「そもそもその仕事のValueは?」
と問いかけるのが良いかと思います。
SOPは「手順」であって、筋の良いプロセスのデザインが前提です。
しかしデザイン(つまり構造ですね)は
「そもそも組織として何を目指すのか」の下流に位置するので、
源流の上位概念がグラグラしているとプロセスのデザインが上手くいかず、
現場の人がオペレーションでその不備を埋めようとするので、結構大変な事となります。
つまり、「このプロセス使いにくいなー」と感じた場合は、上流の「ミッション」「ビジョン」「戦略」「組織構造」を調べてみて、上位概念がキチンと確立されているかどうかを確認する事が必要です。
多くの場合は「ビジョン(成功の姿)」を描くときに、ステークホルダー間の意思統一ができずに、
「あれもこれも」となっていて、
プロセスのデザインが複雑・冗長になっている場合が多いです。
私も以前、医師主導研究申請プロセスの
大幅変更のプロジェクトに携わった事があったのですが、
「透明性が高く」
「研究者の使い勝手が良く」
「優れた研究がキチンと選ばれるようにする」
このゴールに到達すべくプロセスデザインをしたのですが、ステークホルダー間の利害調整に一番エネルギーを使いました。
つくづく人間というものは変化に抵抗するものであり、組織は最終的には人で構成されるので、
変化によって既得権を失うステークホルダーのマネジメントが、プロジェクトの成否に関わる事を学びました。
なので、表面に見えているプロセスの背後に
様々なメカニズムが埋め込まれている事を理解する事が必要です。
そして様々なメカニズムには、実は「ソフト」な部分が非常に大きいのです。
次回は「ソフトS」について解説します。
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